NGO全国環境保護連盟 代表 岩田かおる

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政務活動費返還訴訟の経緯

2018年11月16日(金)、最高裁第2小法廷は、中村省司元神奈川県議の政務活動費不正受給をめぐる住民訴訟で、住民側敗訴の判決を言い渡しました。

誠に残念な結果です。以下に、裁判の内容を説明したいと思います。



(経緯)
○中村元県議が平成23年度から25年度に領収書を出した『県政レポート』印刷代は、全くの架空だとして、518万8050円の返還を 神奈川県 知事 が命じなかったことは違法だとの趣旨で横浜地裁に提訴。


(一審)
○一審の横浜地裁は、印刷は全く実態のないものだとして、知事が返還を命じなかったのは違法だとした(平成28年8月3日判 決)。


(二審)
○東京高裁も、領収書は架空。実態のない印刷代を請求したことは不当利得に当たると認定。証人尋問までしてこの事実を認めた。そ の上で、知事 が返 還命令を怠ったことは違法だと断罪した(平成29年7月10日判決)

(最高裁)
○最高裁の第2小法廷は、一審、二審の判決を見直すため、弁論を再開。11月16日、「原判決を破棄し、第一審判決を取り消す。 被上告人の請 求を 棄却する」との判決を言い渡した。

最高裁の判決は、次のように「理由」を記しています。


(1)架空請求について
「本件各支出は実際に存在せず、領収書は虚偽のものであった。」


(2)
「(政務調査費、政務活動費について定めた)新旧条例は、使途に適合した支出に充てなかった残余がある場合には、当該残額はこれを保持する法律上 の原因を欠くものとして、不当利得として返還されるべきこととなる。
政務活動費等の収支報告書に実際には存在しない支出が計上されていたとしても、当該年度において、使途基準に適合する収支報告上の支出の総額が交付額を下回ることとならな い限り、政務活動費等の交付を受けた会派又は議員が、政務活動費等を法律上の原因なく利得したということはできない。
したがって、新旧条例に基づいて交付された政務活動費等について、その収支報告上の支出の一部が実際には存在しないものであっても、当該年度において、収支報告上に支出の 総額から実際には存在しないもの及び使途基準に適合しないものの控除した額が政務活動費等の交付額を下回ることとならない場合には、当該政務活動 費等の交付を受けた会派又は議員は、県に対する不当利得返還義務を負わないものと解するのが相当である。
本件会派の本件各年度における各収支報告書上の支出の総額から本件各支出を控除した額は、それぞれの年度における政務活動費等の交付額を下回ることとはならず、本件会派が 不当利得返還義務を負うものとはいえない。」

要するに、会派の収支が赤字ならば、不正なものが支出にあっても返さなくてもいいという判断を最高裁が初めて下したことになります。
不正額を控除したあと残余がない場合に、返還の義務を負わないとの判断に疑問を感じます。
不正額を控除するならば、まずこれを返還させ、その残りに残余がなければ返還しなくていいというならば、まだわかります。控除した不正額はそのまま返還もしなくて放ってお いてもいい、そう言っているのです。


残念ながら、これで裁判所の判断は確定しました。
ただ一点、「各支出は実際には存在せず、領収書も虚偽の内容のものであった」と最高裁が認めてくれたことは評価したいと思います。


裁判で確定したのですから、中村元県議の良心に期待したいと考えます。


今後は、神奈川県の条例の改正を議会に求めたいと考えています。
つまり、「支出に不当利得が含まれる場合には、それを返還しなくてはならない。返還したのちの収支で黒字の時は、会派への交付額全体から返還の義務が生ずる」とした条文に 改正すべきでしょう。


さらに、領収書等の証拠書類を市民が情報公開請求をしないと見れない制度になっていることも、改善すべきと考えます。情報公開請求しなくとも、ホームページ上でいつでも見 れる状態にすべきでしょう。進んでいる地方自治体では、そうした改革がすでになされています。


2021年は鎌倉市議会議員選挙、並びに鎌倉市長選挙の年です。政務活動費不正受給問題で最高裁まで闘ったパワーを生かし、鎌倉の政治をきれいなものに変革したいと考えています。


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最高裁判所の前で(最 高裁判所の前で)
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